ガラスである必要

橋村野美知 一輪挿し
橋村野美知 一輪挿し

 台風が近づいていますよ。南から、湿った空気が流れ込む…。そうして小さい子はぜんそくに。追い込みの真っただ中なのですが、今日は家でお休み。

 また夏らしくない一輪挿しが一つ。黒い地面と青黒い空。ぼんやり黄色い大気が屋根に迫ります。なんだか、嵐の前のような、風景。自分のつくったものを見ながら、いったい自分は何をしたいのだろうと考えます。大作氏によく、素材がガラスである必要があるのですか?と聞かれますが、必要はあるのだと思います。

 この間、たまたま工房に立ち寄って、大作氏が銀箔をつけたぐいのみをつくる過程をじっと見ていた人が、涙が出そうになったのだと教えてくれました。私たちのしていることも、あながち無駄ではないのだと思った瞬間です。n